(ケンケン 41歳 男性 フリーター 香川県)

 

 

ゲームが好きな私は数年前に「マックスむらい」というユーチューバーのファンになりました。その彼がAppBank(アップバンク)という会社を運営しています。

そのAppBankがマザーズに上場したのが2015年10月15日。1750円に設定された株価はその日の内に、2150円を付けて取引を終えました。

翌日はストップ高で2650円、その翌日もストップ高で3150円、その翌日もストップ高で3850円の値をつけました。

株もやっていた私にとって、この銘柄が気にならないワケがなかったのです。

私は所有していた大和ハウスの株をすべて投げ売り、AppBank株を4000株購入しました。購入価格は4000円程度でしたので、1600万円分です。

上場から2週間後には5220円の最高値をつけました。私の1600万円は2090万円になったのです。1週間ちょっとで私は490万円の含み益を手にしたのです。

その時、私にはマックスむらいが神に見えました。「この人に一生ついていく。この人を信じていれば私の人生は潤う。」そう思えました。

ところが・・・。

最高値から二日後の10月29日、株価は3915円に急落。私の含み益は全て吹っ飛びました。心がついていけていなかったのを覚えています。

しかし、私はマックスむらいを信じることにしたのです。あのやり手ユーチューバーのことだから、次々と人気動画をアップし、AppBankをどんどん大きくしていくに違いないと思ったのです。

しかしAppBank株はジリジリと値を下げていきました。それでも490万円の含み益を手にした時のアドレナリンが忘れられない私は株を売るつもりはありませんでした。

しかし若手ユーチューバーの台頭によってマックスむらいの勢いはどんどんと衰えていき、それとともにAppBank株は下がっていきました。

上場から3か月後、株価は1500円を割りました。

それでも私は、マックスむらいを信じ続けそれから半年耐えに耐えました。しかし株価は戻らず、さらに下がっていきました。

800円を割ったところで私は我慢の限界に達しました。4000株すべてを売却し、1300万円の損失が確定したのです。

私の1300万円がマックスむらいの人気とともに消えていきました。

購入してすぐの最高値の時にどうして売らなかったのか。何度も考えました。しかし、あの時はもっと上がると本当に思っていたのです。だから売った後に上がることが怖くて売ることなんかできませんでした。

失った1300万円を取り返すまでは株は続けるつもりです。

 

ユーチューブ関連株の危うさについて

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

みなさんはマックスむらいというユーチューバーをご存知でしょうか。ユーチューブの世界ではレジェンドと言われる人なのですが、ゲームに興味のない方はご存知でないかもしれません。彼が2012年に作った会社がAppBank(アップバンク)という会社です

アップバンクという社名の由来はアップル社とソフトバンクを合わせたものだそうです。その2社は日本でのスマホの普及に大きな影響を与えました。そのスマホのソフト、という市場を相手にするのがアップバンクという会社だというわけです。

スマホでゲームをするのは今では当たり前ですが、かつてはそうではありませんでした。外出先でもゲームをしたい人はニンテンドーDSを持ち運ぶことが当たり前であり、スマホはあくまでも電話・メール・ネットをするための端末でした。十字キー、ABボタンの無いスマホでゲームを流行らせることは難しいと思われていたのです。

スマホでもゲームが十分に楽しめることを証明したのがモンスターストライク、略して「モンスト」というゲームです。そしてこのモンストを流行させるのに尽力したのがマックスむらい氏でありAppBankという会社だったのです。

マックスむらい氏にとってユーチューブは会社を発展させるためのメディアの一つという位置づけですので、世間で認識されているユーチューバーとは少しタイプが異なると言えます。

日本のトップユーチューバーといえば、HIKAKIN、はじめしゃちょー、フィッシャーズといったところです。

私はもともとユーチューバーの存在には興味がありませんでしたが、彼らが株式市場とかかわりを持ち始めたころから興味を持つようになりました。

彼らの動画の内容は、商品紹介、実験、アスレチックといった内容です。そんな内容の動画で月収100万円以上も稼げるのなら自分もやってみようと、ユーチューブチャンネルを開設する人は沢山います。

しかし、実際にユーチューブの世界で再生数を獲得するのは難しく、何年も動画をアップし続けて月収が1万円にも到達しない人がほとんどです。

新しくアップした動画が1日に10回も再生されればよいほうで、再生回数が0回の日なんてざらにあります。

ユーチューブの規定が改訂され、現在は「登録者数が千人以上、かつ、過去1年間の総再生時間数4千時間以上」という条件をクリアしなければ、収益が発生しなくなってしまいました。

youtube関連株は危険

しかしトップユーチューバーは動画を出したその日に10万回、20万回と再生され、数日中には100万回以上再生されます。100万回再生されれば10万円の収入が得られると言われていますので、毎日1本の動画をアップすれば1ヵ月で300万円の収入が得られる計算です。

ユーチューブで人気が出るチャンネルにはいくつかのパターンがありますが、人気が出やすいのは若くてかっこいい・かわいい子のチャンネルです。動画の内容が面白いかどうかに関わらず時間の経過とともにファンが増えていきます。

子供向けにおもちゃの紹介をする動画や、ゲーム実況の動画をアップするトップユーチューバーも数多くいますが、よほどおしゃべりが上手か編集が上手ということでなければ人気を掴めないようです。

ユーチューバーというと「好きなことで動画を作って自由気ままに生きている遊び人」というイメージを持つ方が多いと思いますが、月収100万円以上を稼ぐようなトップチューチューバーの世界は少し違うようです。

登録者数が何十万人という単位になってくると、その再生数の多さに注目した企業からタイアップの申し込みが舞い込んでくるようになるようです。お菓子、ゲームアプリ、パチンコ、化粧品などを人気ユーチューバーに報酬を支払って動画で紹介してもらうのです。

人気ユーチューバーのもとには数多くの企業広告案件が舞い込むようになり、個人では対応しきれなくなります。そこで人気ユーチューバーを所属させる事務所が誕生しました。

企業案件はいったん事務所が全て受け、それを所属ユーチューバーに割り振ります。ユーチューバーとしては広告を依頼してくる企業と直接やり取りする面倒から解放されるという恩恵を受けられます。

さらに大手のユーチューバー事務所になってくると、動画を作成するための補助作業をする人員を雇い入れ、人気ユーチューバーの負担を減らす役割を担います。

ユーチューバー事務所の代表格はHIKAKINが代表をつとめるUUUM(ウーム)ですが、他にもGENESISONE(ジェネシスワン)、VAZ(バズ)など、乱立状態です。今後もユーチューバー事務所が新たに株式市場に新規上場してくるかもしれません。

しかし、こういったユーチューブ関連株には少し注意が必要です。

先ほども申し上げました通り、ユーチューバーは人気が全てです。事務所の売り上げは所属ユーチューバーの人気に比例します。

人気ユーチューバーが不祥事を起こすして活動休止に追い込まれるということは珍しくありません。悪いイメージのついたユーチューバーに対しては、企業も広告を依頼しなくなります。

たった1人ユーチューバーが起こした不祥事によって事務所全体のイメージも悪くなり、企業案件は減ってしまいます。そうなると事務所の経営はとたんに傾き、株価は急落することでしょう。

世の中に新しく登場した業種というものは、その勢いの影に何かしら危うさを備えているものです。そのような業界に投資をする場合は余裕資金の範囲内にとどめておくようにしましょう。