(匿名希望 男性 37歳 会社員 東京都)

 

2017年、北朝鮮がほぼ毎月、ミサイルを発射しました。9月には過去最大級の核実験も実施しました。「今年の漢字」が「北」に決まったほどでした。

北朝鮮は「ワシントンを核で焦土にする」といった挑発声明を出し、トランプ大統領も金正恩を「ミサイルマン」と挑発し返しました。

4月にはアメリカの航空母艦カール・ビンソンが北朝鮮に向かって進路を取り、私を含む多くの日本人が「もしかしたらアメリカが北朝鮮を攻撃するのではないか」という不安に駆られました。

武貞秀士や辺真一といった北朝鮮専門家が毎日のようにテレビに出演して不安を煽りました。ネットテレビでは百田尚樹や青山繁晴といった知識人が「10月18日に始まる中国共産党大会が終わったら、北が暴発するかアメリカが先制攻撃をしかける可能性が高い。」と言っていました。

米朝戦争が始まれば日本も戦時下のような状態となり、日本株も暴落するはずです。私はこれを千載一遇のチャンスだと考えました。

2017年の夏頃の日経平均は2万円にまで上昇しており、実態の伴わないバブル状態になっていると思いました。米朝戦争が勃発すればバブルがはじけて1万円程度にまで暴落すると、私は踏んだのです。

ブラックマンデーの際に空売りを仕掛けて大儲けしたアメリカ人のように、私は米朝戦争に乗じて大儲けした日本人として名を残すのではないか、などとほくそ笑みました。

日経平均の下げに最も大きく反応する投資信託は「SBI日本株3.7倍ベア」でした。

私は貯金の8割にあたる1300万円でこのSBI日本株3.7倍ベアを購入しました。手数料が28万円かかりました。もう後には引けません。

購入したのが8月23日で、基準価格は1899円でした。

それから毎日、北朝鮮とアメリカの緊張が高まることを期待しながらニュースをチェックしました。北朝鮮がミサイルを発射すると「いいぞ!もっとやれ!」とガッツポーズをしていました。

10月に入ると北朝鮮がおとなしくなり、ミサイルを発射しませんでした。しかし10月24日に中国共産党大会が終われば北朝鮮は必ずミサイルを発射し、核実験を再開するに違いないと考えていました。

ところがその後、北朝鮮がミサイルを発射したのは11月29日の一発だけでした。

10月末くらいから北朝鮮の話題がテレビから影を潜めるようになりました。さんざん北朝鮮の脅威を煽ってきたワイドショーも、11月からは日馬富士の暴行事件に端を発した相撲協会と貴乃花の攻防ばかりを取り扱うようになりました。

北朝鮮の脅威はどこかにいってしまいました。

日本人のほとんどが「金正恩もトランプも、戦争をする気なんか無いのだろう。」と考えるようになってしまったのです。

10月の1カ月間で日経平均は謎の急上昇をしました。それまで2万円前後だった日経平均は一気に22000円まで上昇したのです。

この上昇基調は年末まで続き、年明けの大発会では年末の終値から742円上げるという異常なことが起こり、日経平均は23506円をつけました。この日、私のSBI日本株3.7倍ベアの基準価格は868円になりました。

この時点で私の1300万円は594万円になりました。706万円の含み損です。

2017年の北朝鮮の脅威とはいったい何だったのでしょうか。北が今年の漢字に選ばれてそれで終わりなのでしょうか。

私は含み損が解消するまでこの投資信託を5年でも10年でも持ち続ける覚悟です。米朝戦争が勃発することを願って。

 

米朝戦争が起きても日経平均は暴落しない

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

2017年の4月から5月にかけて「北朝鮮が暴発するのでは?」という空気が日本中に流れたのは確かです。

しかし「そんなことをすればアメリカに制圧されることが分かりきってるから暴発なんかするはずない」という見方も強く、多くの日本人が北朝鮮のことは気にしない生活を送りながらも、少しだけ気にしている、という状態で過ごしたのではないでしょうか。

夏以降は、アメリカが北朝鮮を先制攻撃する可能性があるかどうかという議論になっていき、これに関しては北朝鮮の暴発よりもリアリティのある話として受け止められました。

この間の日経平均の動きを見てみると、こんな感じです。

 

2017年日経平均

 

北朝鮮のミサイルに関するニュースが大きく報じられ始めた3月末から4月中旬にかけて千円強下げました。

ところが、それ以外の期間はほぼ横ばいかもしくは大きく上昇しています。

私は、米朝戦争が本当に起きるようなことがあれば、日経平均はむしろ上昇すると考えます。

米朝戦争の結末は明らかです。金正恩体制の崩壊と北朝鮮の非核化および無力化です。このことはつまり、東アジア地域に半世紀以上にわたって存在し続けた大きな不安要素が消え去るということです。市場にとっても絶大な好材料です。

安心感から周辺国の国債や通貨、株は買われるはずです。それでも戦争勃発から3日間程度は市場は狼狽し、日本株も急落すると思います。しかしその後は急速に上げに転じるはずです。

しかしわたしは、実際には米朝戦争は起きないと考えています。輸出入を制限された北朝鮮はいずれ国内経済が疲弊し、金正恩は核実験の停止を条件にアメリカに制裁の解除を要望するという手段に出るでしょう。ミサイルも核実験もそのための布石です。

その場合も市場にとってはプラス要因となります。