(匿名希望 33歳 男性 会社員 長野県)

 

株で儲けるためにはデイトレでなければならないとずっと信じてきた。

株を保有したまま翌日に持ち越すということは、一晩もの間どんなことが起きるか分からないリスクを背負うということだ。土日を挟む場合は63時間もの間、なにも起きないでくれと祈るしかない。

しかしデイトレは株を保有したまま夜を迎えることはない。不安で深夜に目が覚めて経済ニュースをチェックする必要もない。

そんなことを何かのマネー雑誌で読んだことがあった。

しかし私がデイトレで儲けることはなかった。

購入した株が上昇した場合、3万円程度の利益で耐えられなくなって売ってしまう。

逆に下がった場合は耐えに耐えて、結局10万円以上の損失が出た時点で限界を感じて売る。

利益には耐えられず、損失には耐えられる。俺はデイトレにおいて、完全にドM体質だった。

デイトレで損をし続けていた時、こんな理論に出会った。

「素人は儲けが出たら利益を確定する。プロは儲けが出たらもっと儲けられると考えてポジションを維持する。」

まさに、俺は素人だった。俺は儲けに耐えられないのだ。

いったん儲けた金は絶対に手放したくない。一度手に入れたものを失うことが怖い。だから利益確定が早くなる。

俺は完全にその理論に感銘を受けた。まさにその通りだと思った。

それからデイトレ一本の投資スタイルを見直し、中長期保有の売買スタイルにシフトするべきだと考えた。

考えてみれば取引時間が終わってから開始するまでの18時間で、悪いニュースが出るリスクは確かにあるが逆に良いニュースが発表される可能性も等しくある。

買収されることが決まるような好材料はおおよそ取引時間が終わってから発表され、翌日の寄り付きからストップ高になったりする。

デイトレばかりをしてきた俺は、そういう好材料の恩恵を受けることはなかった。何の根拠も無く日中に上がったり下がったりするだけの株をちまちまと買っては売っていただけだった。

そんなことで大きく儲けられるはずはない。中長期保有こそが素人がプロに勝てる方法だ。そう思った。

それから私はコロプラという会社の株を2,000万円分購入し、何があっても半年間保有することに決めた。

「何があっても」というのは株価が下がって含み損が出ても、株価が上がって含み益が発生したとしても、という意味である。

デイトレをしていた頃の私は含み益に弱く、含み損に強かった。しかし半年という期限を死守すると決めることによってその特性を殺すことができる。そう思った。

買い値は2,400円くらいだった。株を購入してパソコンの電源を落とすのは初めてだった。

一気に不安が押し寄せたがその反面、俺の知らないうちに大きく値上がりしているかもしれないという幻想も抱いた。

株を保有したまま夜を越すのも初めての経験だった。こちらはやはり怖かった。朝起きたら「コロプラ、民事再生法申請。」というニュースが流れないとも限らないからだ。

しかし、それも2日、3日と経つうちに慣れていった。そう簡単に企業が倒産するものかと、強気になっている自分がいた。

コロプラ株を購入してしばらくして、含み益が100万円を超えた。

売りたい衝動に駆られたが、「何があっても半年間保有」の決まりを忘れなかった。

売りたい衝動に負けるのが素人、平然と保有し続けるのがプロ、なのだから。

「今売れば100万円の利益。しかし半年我慢すれば1000万円の利益になっているかもしれない。」

と、考えた。

ところが、それを天井としてコロプラ株はじりじりと下げ始めた。

それから1週間後には100万円の含み益は消えた。

さらにそれから1週間後、株価は2,000円を割り300万円を超える含み損が発生した。

その時点から1か月間、私は株価をチェックしないことに決めた。毎日株価を見ていると気がおかしくなりそうになったから。

1ヵ月後、株価をチェックするとほぼ横ばいでほっとした。

これだと思った。私は株価をチェックしないことに決めた。株価を一切見なければ売りたい衝動に駆られることが無い。

不安もあるが、期待も持てる。

それからコロプラの株価をチェックするのは月末だけにすることにした。

それから1ヵ月後、株価をチェックすると1500円を割っていた。含み損が750万円にまで膨らんでいた。

しかし、半年まではあと4か月あった。ここで売ってしまったら負け。半年はなんとしても我慢だと自分を鼓舞した。

そこから3ヵ月は横ばいだった。含み損は700万円を切ることもあったが大きくは戻らなかった。

しかし6か月目の月末に株価をチェックした時、私は唖然とした。

コロプラの株価は1,000円を割っていた。

もう希望を持てなかった。期待を持ち続けることに疲弊していた。

全てを売却し、1,170万円の損失が確定した。

 

購入した株の株価をチェックしないという、涙ぐましい心理。

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

投稿者の匿名希望さんが、「株価をチェックしないことに決めた」という心理は非常によく分かります。

株を購入すると、取引時間中はずっとその株価が気になります。何度も何度も株価をチェックし、少しでも上がれば楽しく、少しでも下がれば落ち込んでしまうものです。

私は株を買うと、頭の中の半分以上は常は株価のことで満たされている気がします。株をやっている人にとっては、株のことを考えない人生なんて考えられないものです。

とにかく株を買うと、株価が気になって仕方がないものです。それはみなさん、同じだと思います。

コロプラ株で大損

しかし、通常の株はそれほどダイナミックには価格が動きませんので、なかなか思い通りにもうけが出ずにヤキモキしてくるものです。それでも1時間ごとに株価をチェックしてしまう自分に嫌気がさしてくることがあります。

投稿者の男性は株価をチェックしないうちに運悪く株価が下がってしまたのですが、株価をチェックしないという投資行動自体は決して悪いことではありません。

個人投資家は自分の保有する株が上がるとすぐに売りたい衝動に駆られます。逆に下がると必要以上に落ち込みます。しかし、株価をチェックしなければそういう気持ちになることもありません。

仮に株が下がっていたとしても、株価をチェックしていなければ「今頃は株価が上がって含み益が出てるかも」という希望を胸に一日を過ごすことができます。

株価をチェックしない

ひとつの銘柄の株価を取り巻く環境は2年も経てば大きく変わる可能性があります。持っている株の含み損が大きくなった時に「売らずに2長期間放置する」という戦略をとれるのは、個人投資家だけに許された強みです。

ひとつの銘柄に投入する金額は、「下がれば当分放置しておけばいい」と思える程度の金額に抑えておくことです。