(K・T 35歳 男性 会社員 広島県)

 

35歳になって年収は500万円。正社員として就職し、13年間働き続け、毎月80時間の残業をこなしているわりにはそれほど高くない年収であることは自覚している。

そもそも高年収に期待して就職した会社ではないが、正直なところもっと遊ぶ金が欲しい。ライブドアニュースを見ていると、「年収1000万円稼ぐ人は幸せなのか?」「年収1000万円稼ぐ人の考え方」といったタイトルの記事がよくあがる。

高年収のひとつのラインがこの年収1000万円だと思う。私は年収1000万円のサラリーマンに激しい嫉妬心を持っていた。

ただ私の場合、残業は80時間までと決められているからこれ以上残業手当を稼ぐことはできないし、自分の能力からして課長職などに出世できるかどうかも分からない。

かといって、休みの日にアルバイトを入れて稼ぎを増やすのは人の生き方としてなんだか違う気がするし。

そんな私は30歳を過ぎた頃から本屋で副業関連の本を探すようになっていた。

「サラリーマンが週末起業で月50万円稼ぐ」「仕事をしながら不動産投資でラクラク稼ぐ」といった魅力あるタイトルの本をつい買っていた。

しかし本を読み進めるうちにあきらめへと変わっていく。

自分に起業できるような得意分野は無く、リスクを冒す度胸もない。不動産投資にしても目利きのできない素人の私がプロを出し抜いて収益物件で儲けられるとは思えない。

結局、サラリーマンが副業でガッポリ儲けるなんてあり得ないのか。そんなことばかりを考えてきた私が最終的にたどりついた儲け話は投資信託。

時間も知恵も度胸も無いサラリーマンが仕事以外で金を稼げるとすれば投資信託が一番いいと思った。株やFXは常に株価や為替が気になり、仕事中にも売買をしたくなってしまうと思ったので最初から除外した。

投資信託は基本的には株やFXのように頻繁に売買をするものではない。高い手数料を払って購入した後はそのままじっくり持っておくしかない。

サラリーマンの副業にうってつけなのは、投資信託だと結論付けた。投資信託が副業と呼べるかどうかはかなり怪しいけれど。

投資信託のなかでも大きく儲けられそうなものを探していた私は、成長著しいと言われたインドネシアの株式指数に連動するインドネシア株式オープンという投資信託を選んだ。

中国の経済にバブル崩壊の危険信号が点灯し、ブラジルは落ち目と言われていた。しかしインドネシアには外資がどんどん入っていてこれから急成長するとされていた。

そんな期待値を反映してか購入時の基準価格は13,000円。自分の貯金の8割に当たる800万円分を投下。

ところが半年後に基準価格はあっさりと1万円を割る。さらなる下落を危惧した私はろうばい売り。200万円の損失が確定した。

副業と年収を合わせて1000万円プレーヤーになる夢は大きく遠のいた。

 

私たちが投資に参加する動機

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

元本を割らない(1円も損をしない)でお金を増やせるのは預金か国債しかありません。

貯めたお金を金利の低い定期預金に入れておくのはもったいないという人もいますが、決してそんなことはありません。定期預金には「金額が減ることがない」という有難い強みがあります。

投資をしたことのない人にとっては当たり前のこの事実ですが、一度でも投資で損をしたことのある者にとってはこの有難みが良く分かります。

「インフレになれば現金の価値は下がるから定期預金も安全とは言えない」といった警鐘を鳴らす人もいます。しかし、日本はジンバブエではありません。先進国がハイパーインフレに陥る可能性は限りなくゼロです。

そんな通貨の安定した国に住んでいる国民でありながら、私たちが投資に参加するのはなぜでしょうか。

その理由は「夢」だと思います。損をするかもしれないけれど、大きな利益を得られるかもしれないという「夢」です。

人間が生きていく上で夢を持つということは、お金以上に意味を持つことがあります。夢を持ちつづけていれば、明日が来るのが待ち遠しい生活が送れます。

「毎年0.03%の金利がつく」ということよりも「大きく損をするかもしれないけれど、もしかしたら大きな利益を得られるかもしれない」ということのほうがワクワクしながら生きていけます。

極論を言うと、投資はギャンブルです。投資家の気持ちは赤鉛筆を耳に挟んでボートレースに通うオジ様たちの気持ちとなんら変わりません。ワクワクが欲しいからそこに向かうのです。

しかしギャンブルである以上、危険も伴います。夢を見過ぎると身を亡ぼすこともあります。財産の全てを賭けなくても夢を見ることはできます。

夢を見続けるためには、まずは損失を取り戻す必要があります。そしてやはり、勝たなければおもしろくありません。