(ジャルババ 66歳 女性 主婦 山形県)

 

2009年の秋頃から日本航空(JAL)が経営不振に陥っているというニュースが目立ち出しました。

そのためか日本航空の株価は低迷していました。

JALといえば、もともとは国の企業です。堀ちえみ主演の「スチュワーデス物語」もJALを舞台としたものでした。

その日本航空が窮地に立たされていたのです。年末には経営難から法的整理をすることが有力になったというニュースが流れ、株価は一気に85円まで急落しました。

年が明け、2010年1月8日の金曜日のことでした。その日、私の会社は休みだったので家でテレビを見ていました。

すると、

「企業再生支援機構がJALの上場維持を決定した。」

というニュースが正午に流れたのです。わたしは「よしきた」と思いました。

ニュースが流れた後も、日本航空の株価は前日とほぼ変わらず66円をつけていました。午後の取引が始まると同時に、私は成り行きで30万株の買いを入れました。

68円で約定しました。

私は弱体化した日本航空株に2040万円を投下したのでした。

100円を切った株を10万株保有することが危険であることは分かっていました。

しかし長い投資人生のどこかで一度、大きく賭けに出たいとも考えていたのでした。

翌日からの9(土)10(日)11(月・祝)は、株式市場も3連休でした。その3連休の2日目の日曜日ことでした。

鳩山首相が「日本航空の株主にも負担を強いる必要がある」という発言をしたのです。

1月12日(火)に市場は再開しました。

日本航空の株価はストップ安の37円まで急落しました。鳩山発言の影響であることは明らかでした。

私の2040万円は1110万円にまで減りました。

しかし、私は希望を捨てていませんでした。

『急落した株価は急騰もする。日本航空を政府が見捨てるはずがない。』

そう思っていたのです。

その日の夜、私は日本航空に対する新たな支援策のニュースが流れることを期待し、テレビとネットの経済ニュースを食い入るように見ていました。

しかし新たな支援策は発表されませんでした。

翌日の1月13日(水)にJALの株価は7円になりました。

 

(運営により差し込み)

私は保有していた日本航空株30万株を10円の指値で全て売りに出しました。しかし約定しませんでした。買う人がいなかったのです。

結局翌日になって成行きで売りに出し、すべて約定しました。

日本航空株に投下した2040万円は280万円になりました。

1760万円を失いました。

 

難しい押し目買い

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

株を始めて間もない頃は、純粋に株式チャートが上向きになっている銘柄を買ったはずです。そして上がっていたはずの株が、自分が購入した直後に下げに転じて痛い目にあうということを、ほとんどの個人投資家が経験したことでしょう。

その経験を経たあとに考えることは「逆に株式チャートが下向きになっている株を買ったら上げに転じてもうかるのでは?」ということです。ところが購入したあとも下げ続け、やはり痛い目を見るということを経験します。

そして次に考えることは「もう下げる余地がないほど下がりきってから株を買おう」ということです。

このように、下がりきったタイミングで株を買うことを「押し目買い」と言います。株の世界で「押す」と言えば「下がる」という意味です。「押し目」というのは株式チャートが下げから上げに転じる谷底のことを言います。

ところがこれも甘い考えです。押し目というのは後からチャートを振り返って「このタイミングが押し目だったね。」と分かるものです。下がり続ける株を追いながら、「今が押し目だ」と判断することは極めて難しいことです。

企業の悪いニュースが流れて株価が半値ほどに下がり、そこからしばらく横ばいが続くと、「よし落ち着いた。今が押し目だ。」と判断してしまいがちです。

ところがそんな矢先にさらなる悪いニュースが流れ、さらに半値にまで株価が下がるということがよくあります。

押し目買いは、動きの激しい株に手を出すという危険なギャンブルです。

日本航空の場合は結局、政府に見放されて上場廃止になるという最悪の結果となりました。半値どころか株の消滅です。日本航空のように公共性の高い企業であったとしても、世論が許さなければ政府も援助を渋るということが分かりました。

投稿者のジャルババさんが「長い投資人生のどこかで一度、大きく賭けに出たい」と考える気持ちはよく分かります。一度くらいは投資したお金が倍になって返ってくるような取引をしてみたいものです。

しかし大きくもうけようとすればするほど、大損という落とし穴にハマりやすくなるのがこの世界のさだめです。