(匿名希望 男性 52歳 営業 鹿児島県)

 

年収は低いが、ケチケチした生活を送って45歳までに3000万円を貯めた。

しかし52歳の今の私の貯金は1400万円。先物取引に手を染めたために1600万円を超えるお金を失った。

株を始める前の自分に会えるとしたら、ぶん殴ってでも定期預金に3000万円全額を預け入れさせる。

当時のネット銀行の10年定期の金利は0.4%。1年間預けていれば12万円の金利をもらえていた計算になる。

投資で失敗を重ねてきた私にとっては、1年間通して投資の収支を12万円のプラスで終えるということがいかに難しいことかよく分かる。

銀行に預けていれば絶対にマイナスにならない。1000万円ずつに分散していれば銀行倒産リスクも回避できる。

今となってはこんな当たり前のことに、本当に価値を感じる。

「絶対に元本を割ることが無く、しかも金利が付く。」ということが、どれだけ素晴らしいことか。

私の母親が「欲をかく人間は損をする」と言っていた。まさにその通りになった。0.4%という定期預金の金利で満足していれば私は大損をしなかった。

0.4%の金利では満足できず、少なくともその10倍の利益でなければ満足できない私がいた。私は欲をかく人間だった。

そこにはおごりもあった。「自分は3000万円も持っている。だから貧乏人よりも良い条件でお金を増やせるはずだ。」と。

3000万円が生み出す利益は12万円が限界なのだ。それでもすごいことだ。言わずもがなの不労所得だ。

1600万円を失わないと、私はそのことに気が付くことができなかった。放置しておくだけで年間12万円ものお金が貰えるという有難さに気付かなかった。

しかし残りの1400万円を定期預金に預け入れる気には到底なれない。損をしたままで市場を撤退するわけにはいかない。

私は失った1600万円を必ず取り返す。市場という土俵で取り返す。1600万円を取り返した時点で、私は市場を撤退する。

そして今度は必ず定期預金に預け入れる。それまで私は絶対に諦めない。

 

先物取引には手を出してはいけない

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

この方は1600万円を先物取引で失われたのですが、先物取引の対象には触れられていません。

株・FX・投資信託のいずれかは購入したことがあるが、先物取引は経験がない、という方がほとんどではないでしょうか。また、先物取引という言葉は聞いたことがあるけれど、なんだか危険そうだ、というイメージを持つ方も多いと思います。

その通りです。先物取引はとても危険な投資です。

先物取引は手持ちのお金の10倍~50倍程度の金額の取引ができてしまう恐ろしい投資です。投資対象が思惑通りに動けば大きな利益を出すことができますが、予想が外れると手持ちのお金が失われる上に負債を抱えることになります。

FXであれば自分で倍率を設定することができますが、先物取引は自分では決められません。先物取引の仕組みは非常に難解であり、個人投資家は手を出すべきではないと思います。

投資の世界では「自分が理解できないものに投資をするな」という教えがあります。

株を購入する際に「何をやっている会社なのか良くわからないけど、なんだか急成長しているようだから買ってみよう」という動機で購入したことはありませんか?

投資対象の会社が何をやっているのかが分かっていないと、いざという時に逃げ遅れることになります。

例えばその会社が「石油を原料とする製品を作っている」ということが分かっていれば、「原油価格の上昇過程では利益が落ちるから株価も下がるだろうな」という判断ができます。

そのことが分かっていないと、「今日は日経平均に引きずられて下げたけど、明日には反動で上がるんじゃないかな。」といったような的外れな判断を下してしまい、手放す機会を逸して損失を拡大させるということになります。

投資対象のことがよく分かっていれば利益を出せる、というわけではありませんが、少なくとも、投資対象がピンチに陥っているにも関わらず持ち続けてしまう、ということは避けることができます。

大損をする人は、自分の理解の及ばないものに投資をしたがります。株や投資信託で損をすると、一発逆転を狙いたくなってしまいます。そんな時に目に入って来るのが信用取引や先物取引というギャンブル性の強い投資対象です。

損失を出しているといち早くその状態から抜け出したいと思います。かつての自分なら危険なものに手を出さなかったはずが、大きな損失を出すと、危険なリスクを冒してしまう別の人格が現れてしまうのです。

大きな損失を出したということは、同じ期間で同じ額の利益を出せる可能性があるということです。短期間で回収することを考えるのではなく、投資方法を見直すことで損失を取り戻すことを考えるべきです。