(Tomahawk 48歳 男性 美容師 高知県)

 

株の含み損が350万円を超えています。

株をやる前から含み損という言葉は知っていました。株価が下がっても売りさえしなければ損失は確定しないという言い訳もどこかで聞いたことがありました。

でも実際に大きな含み損を抱えると、そういう考え方はできなくなります。

貯金の全てである1000万円で株を購入し、含み損が350万円という状況の私は、最初から650万円の貯金しかない奴となんら変わらないです。

「今は350万円の含み損を抱える俺だけど最初は1000万円持ってたんだ。」と思ってみたところで、650万円しか貯金が無い奴と何ら変わりがない状況に愕然とするのです。

今のわたしは48歳なのに資産が650万円しかない、くだらない男なのです。

株を買う前は、万が一含み損が発生しても我慢して保有し続けようと心に決めたはずでしたが、実際に含み損が発生するとそれはもう含み損ではなくただの損失と何ら変わりないということに気付くのです。

含み損などという言葉は気休めの言葉でしかありません。実際に含み損を抱えないと、この当たり前のことに気付かないのです。

株をやったことがなくて650万円のお金を貯めた奴のほうが、350万円の損失体験が無い分、私よりはるかに幸せだと思います。

いったん1000万円を貯めたあとに、また貯金が650万円に戻るとく屈辱は精神を参らせます。

これだけ大きな含み損を抱えると、株で儲けてやろうなどという気持ちは完全に消え失せます。

「買った時の値段に戻ったらすぐに売る」ということだけを考えながら、悶々とした日々を送るだけです。

それまで楽しかった日常のなんでもないことが、すべて虚しく感じるようになりました。

かわいい子犬を見てもバラエティ番組を見ても、ワールドカップを見ても、おいしいラーメンを食べても、350万円を失った哀れな自分を冷めた目で見ているもう一人の自分がいます。

ホテル経営とスキー場経営で23億円の借金を作った加山雄三言っていました。

「僕は宇宙に詳しいんだよ。宇宙のことを考えているとねぇ、現実のつらいことを忘れられるんだよ。」

分かります。私もNHKでブラックホールの特集なんかをやっているとその瞬間は350万円の損失で鬱になっている自分を一瞬忘れます。

しかし。番組を見終わると、現実に引き戻されます。やはり自分にとって350万円の損失はブラックホールよりも大きいことなのです。

 

含み損を抱えた時の気持ちは皆同じ

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

私も1000万円の含み損を抱えたことがあります。

含み損を抱えている時というのは、常に体の一部をえぐられているような感覚です。胸がつまったような感じもします。

お金を失ったという喪失感もさることながら、株なんかに手を出さなければよかったという後悔の気持ちにもさいなまれます。市場に対する敗北感や恨みの感情も生まれます。

これらの感情がドロドロとしたスープのように心の中を渦巻きます。日常のささいな喜びや楽しみは、このドロドロスープの渦の中にすべて飲み込まれ、何をやっていてもむなしいという状態になります。

含み損を抱えた時の感情はみんな同じようなものです。投資歴がそれなりにある人であれば、含み損を抱えたことがない人などいないでしょう。

「なぜ自分だけこんな目に」「自分はなんてダメな人間なんだ」という負の感情をあまり膨らまさないことです。

含み損を抱えている時は、まわりの人たちがうらやましく感じるものです。みんな涼しい顔をして日常を過ごしているように見え、自分だけが不幸のどん底をさまよっているのだと思えてくるものです。

しかし誰しも、心の中になにかしらの陰鬱な感情を抱えながらもそれを表には出さずに生きているのです。あなたがそうであるように。

株で350万円の含み損を抱える程度の不幸よりも、もっと深刻な問題を抱えている人はいくらでもいます。

投資をして損をするという悩みは中流の生活レベル以上の人しか味わえない、割といい身分の贅沢な悩みなのです。

とはいえ、含み損を抱えた状態はやはり精神衛生上良いものではありあません。しかし、早急に損切りをして市場から退場するというのはあまりおすすめできません。市場から撤退したとしても投資で損をしたというドロドロとした感情は決して心の中から消えてくれないからです。

市場というのは、ある程度損をすれば、もしくはある程度利益を出すことができれば撤退する、というものではありません。生涯を通じて参加し続けるものです。欧米では預金や積立金と並列で考えられており、確固とした資産管理の方法なのです。

投資に回したお金が短期的に目減りしたとしても、人生はあと何十年も続くわけですから、急ぐ必要はありません。残りの何十年で、株は上がったり下がったりを繰り返します。

含み損が発生したからといって、明日から家賃が払えなくなるわけでもなく、食べるものに困るわけでもありません。焦って敗北感を噛みしめる必要などまったくないのです。