(T.S 56歳 男性 会社員 福井県)

 

私は30代前半から株をやってきましたが、ずっと東証一部の銘柄ばかりを選んできました。

東証一部の株であればそれほど急激に下げたりしないだろうし、倒産リスクも比較的少ないだろうとも思っていたためです。

しかし大きく儲けることは無く、面白味が無くなりました。

大きく儲けるためには東証一部銘柄ばかりをやっていてはダメだと考えを改め、東証二部に手を広げることにしました。

そこで買った銘柄がラオックスでした。そのころラオックス株が急上昇していたのです。

ラオックスは空港を利用した際に「Laox」という看板を見たことがあり、なんとなく「免税店をやっている会社」という知識がありました。

やはり知らない会社より知っている会社の株のほうが安心感がありました。

3,800円前後で2000株購入したのが2015年の6月でした。760万円を投下したことになります。

その後ラオックス株は期待通り上昇し続け、1ヵ月後には5,640円の高値を付けました。

ところがその翌月になると、ラオックス株は急落しました。拡大していた含み益は消滅し、また購入時の価格に戻ってしまいました。

急落はそこで終わらず、あれよあれよと下がっていきました。

売るタイミングを完全に失ってしまい、私はただただ含み損が膨れ上がるのを見守ることしかできませんでした。

2016年の6月に1,000円を切る寸前のところで全てを売却しました。560万円の損失が確定しました。

なぜ私はラオックス株が急落し始めた最初の段階で売却をする選択ができなかったのか、自問自答を繰り返しました。

なぜ下がり続ける株を売らずに保有し続けてしまったのか。なぜさっさと売り払って他の株に移行しようと思わなかったのか。

これは私の中の「悪い意味でのプラス思考」の弊害だと思います。

「次の四半期決算では必ず良い数字が出て、株価も急回復するだろう」と思い込もうとしていた自分がいました。

こんなものはプラス思考でも何でもありません。ただの楽観主義でした。

急落するにはそれなりの理由があるものです。「逃げるが勝ち」という当たり前の理屈を忘れていたのでした。

ラオックス株での大損は全然取り戻せず、私の人生の黒歴史として暗い影を落としています。

ただ、働いているうちは市場からは撤退しないつもりでいます。

 

損切りの難しさ

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

「損切りラインを決めて、それを死守ですることが重要だ」というのは、株の世界では常識です。しかし実際に株を購入してその株が下がり始めてみると、損切りはそう簡単にはできないことがわかります。

最初に決めた損切りラインまで株が下がったとしても「売った直後に上がり始めたら嫌だな」と思うのが普通です。そのため「もう少し待ってみよう」「あと1日、様子を見てみよう」と、売らずに持ち続けてしまいます。

「損切りをしたとしても、次に買う株も下がって損切り。その次に買う株も下がって損切り。それが延々と続くかもしれない。」という恐怖もあります。

株を買う時点で手数料を支払っていますから、できれば取引の回数はおさえたいという気持ちもあります。

個人投資家の心の中にはこのような迷いが渦巻くため、損切りができなくなるというわけです。

投稿者のT.Sさんが「逃げるが勝ち」だったと後悔されていますが、それはラオックス株が下がり続けたからそう思われるだけです。もしも売却したあとに、ラオックス株が反転して上昇していたとしたら「逃げるが負け」だったのです。

T.Sさんがラオックス株を持ち続けたことは決して不可解なことではありません。損切りをするという判断は、株を購入するときの何倍も難しい心の葛藤があるものです。

「売ってしまった株が上がること」は投資家にとってものすごく悔しいことです。それは「持っている株が下がること」以上に心にダメージを与えることもあります。

持っている株が下がったと場合は、「持ち続けていれば回復するかもしれない」という希望が残されています。しかし、売ってしまった株が上がったときにはどうしようもありません。ただ、歯ぎしりをするしかありません。

売った株の株価はチェックしないことです。