(まぁこ 29歳 女性 主婦 京都府)

 

数年前、主人の稼ぎだけでは生活にゆとりが持てなかったので、パートに出ようかと考えていました。

しかし、当時はまだ子供が3歳だったので働きに出るためには保育園に預けなければいけませんでした。

しかし週5で保育園に預けるとひと月6万円必要だということが分かり、思いとどまりました。

パート代の半分近くが保育園代に飛んでいくのは、あまりにも効率が悪いと思いました。

それで最初に考えたのが在宅ワークでした。

最初はテープから文章を起こすとか、ボールペンを箱に詰めるといった内職を考えたのですが、飽き性の私が納期までに間に合わせることが果たしてできるかどうかが不安だったので結局やりませんでした。

そして私がたどり着いたのが、FXでした。

主婦がFXでお金を稼ぐという話はよく聞きましたし、うまくいけば相当な額を稼ぐことができるという記事を週刊誌で読んだことがありました。

わたしは主人に内緒で外為どっとコムでFXの口座をつくり、自分の貯金の300万円のうち200万円を振込みました。

最初は倍率を10倍に設定して100万円分のドルを購入したところ、1時間で1万円儲けることができました。

パートで1万円儲けようと思ったら1,200円の時給で8時間働かないといけません。

私は嬉しくなって調子に乗りました。

倍率を一気に上限の25倍に設定し、口座の200万円全額でドルを購入しました。

ところが買った瞬間から予想に反してドルが下落し、1時間で10万円のマイナスとなりました。

辞めるにやめられずにいると、主人が帰ってくる時間になりそのままパソコンを閉じました。

翌朝、主人が会社に出勤すると同時にパソコンを開き取引画面を確認すると、私の200万円が100万円になって取引が終了していました。

FXを始めてたった2日で、私は100万円を失いました。すぐにFX口座を解約しました。

こんなことなら真面目に内職をしておくべきでした。

私のように旦那に内緒でFXをやって大損をしたという主婦の方はいらっしゃいますでしょうか。

FXで主婦が儲けられるなんて、幻想です。絶対にオススメできません。

 

素人を惹きつけるFXの魅力とその理不尽性

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

魅力的なFX

FX(エフエックス)とはForeign Exchange(外国為替)の略で、和製英語です。海外ではForex (フォレックス = Foreign Exchange)と呼ばれています。

FXの正式名称は「外国為替証拠金取引」といいます。つまりFXとは「証拠金を元にその何倍もの額の外国為替を取引すること」です。

FXの最大の魅力はこの「何倍もの取引」という部分にあります。現在の法律では最大で25倍です。1000万円持っていると2億5000万円の取引ができるということです。

この25倍という数字は非常に魅力的です。

通常の株に1千万円投資した場合、1%値上がりすれば10万円の利益が出ます。しかしFXに1千万円投資した場合、1%通貨が動くと250万円の利益が発生します。

雇用統計の結果などによって、1ドル100円が数秒で101円、102円まで動くといったことはよくあることですから、まさに秒速で数百万円を稼ぐということも夢ではないというわけです。

FXのもうひとつの魅力は、投資対象が分かりやすいということです。NHKのニュースは最後に必ずドル円為替レートを伝えて終わります。

いつも見ている数字ですから、その動きもなんとなく読めそうな気もします。

高倍率で稼げる。しかも分かりやすい。素人が手を出したくなる要素がそろっています。

小麦やトウモロコシ、原油、金などの先物取引という投資においても50倍や100倍といった高倍率で投資をすることができますが、素人にはその仕組みや窓口がよく分かりません。

FXは、外為ドットコム、DMM.com証券、外為オンラインといった会社が人気タレントを起用して親近感の湧くコマーシャルを流していますから、とても身近です。

しかし、分かりやすくて親近感があるからといって必ずしも利益が得られないのが投資の世界の冷徹なところです。

 

 

FXならば少ない元手で大儲けできるという幻想

【ファイナンシャルプランナー 入木田】

FXをやったことが無い人のために、FXで大きな利益を出すことがなぜ難しいのかをご説明したいと思います。

例えば100万円を元手に倍率1倍(レバレッジを効かさない)でドルを購入したとします。

為替レートが動いて1ドル100円から1ドル101円になったとすると、投資額は100万円から101万円になります。倍率が1なので、為替レートの変動率がそのまま投資額の変動率になります。

それではおもしろくないからと、倍率を一気に25倍に上げたとします。

その場合、為替レートが1ドル100円から1ドル101円に動くと、100万円が125万円になります。為替が1円動くだけで資産を1.25倍にできるというわけです。

FXで倍率を上げて取引をすることを「レバレッジ(てこ)を効かせる」という言い方をします。このレバレッジ機能こそがFXの大きな魅力となっています。

ドル円の為替レートは、ひと月に3円以上動くこともよくあります。100万円でドルをレバレッジ25倍で購入している場合、1ドルが100円から103円になると、3%の25倍なので75%の利益(75万円)となります。つまり、100万円がひと月で175万円になります。

しかしこの「レバレッジ」という機能はプラスの方向だけではなくマイナスの方向にも働きます。1ドルが100円から97円に下がると3%の25倍なので75%の損失(75万円)を被ることになります。

損失が75万円に膨らむまで我慢できる人はそういませんから、現実的には10万円、20万円程度の損失が出た段階で売却することでしょう。

ただ、中には損失がどれだけ膨らんだとしてもドル価格が上昇することを信じて持ち続けていたいという人もいるかもしれません。

ところがFXには「強制ロスカット」という安全機能が備わっています。「含み損の金額が元手の〇%に達したら強制的に売却させられる」という機能です。

このパーセンテージはFX業者によって異なるのですが、含み損が元手と同じ金額になるまで強制ロスカットが入らないところもあります。

元手に対する含み損の割合はFX業者によって異なりますが、一般的には50%です。強制ロスカットラインが50%の業者を選ぶと、元手が半分になった時点で取引が終了させられるということになります。

100万円を元手に倍率25倍でドルを購入した場合、1ドル100円が98円になった時点で含み損の額は50万円に達し、取引終了です。

逆に1ドル100円が102円になれば50万円の利益が出るわけですが、実際にそうなるためには、「為替レートが100円から102円になるまでの間に、一度も98円を切らない」ということが条件となります。

大きく円安が進行した時に「あぁ、FXやっていたら大もうけできたのになぁ。」と後悔する人がいます。しかし実際に取引していたとしても、為替は直線的ではなくジグザグを繰り返しながら動くため、途中でロスカットされて終了している可能性は大きいのです。

「為替の動きのジグザグの下限が強制ロスカットラインに触れることなく希望方向に大きく動く」という条件がそろわない限り、FXで大きな利益を出すことはできないということです。

ジグザグの下限が強制ロスカットラインに触れないようにするためには、レバレッジを少なくする必要がありますので、資産の少ない個人投資家がFXで大きな利益を出すのは難しいのです。

資産家が、

「1億円をレバレッジ2倍でFXに投じて、1%の為替変動により2百万円儲ける。」

「5億円をレバレッジ2倍でFXに投じて、1%の為替変動により1千万円儲ける。」

という話なら十分あり得る話です。

つまり、FXで数百万、数千万という利益を出すためには億の元手がなければ難しいということです。

テレビなどでFXで大もうけしたという主婦が登場する時に「元手がいくらか」について言及されていることがほとんどないのはこのためです。