(匿名希望 43歳 女性 ネイルサロン経営 石川県)

 

私は18歳から美容院で働いています。ネイルもあわせてやる美容院で、私はネイル担当として腕を磨いてきました。

徐々にネイルだけを目当てに来るお客さんも増え、ネイルサロンとして独立することを考え始めたのが30歳の頃でした。

33歳の頃、石川県内の繁華街に条件の良い8坪のテナントを見つけたのをきっかけに、美容院を辞めネイルサロンを開業することになりました。

ネイルサロンはガスも水道も使いませんので、内装工事費用が安く済むので資金が少なくても開業しやすいのです。

しかし、おしゃれな内装にすることは必要で、リフォーム費用として180万円を現金で支払いました。

開業してすぐは以前の美容院時代からの固定のお客さんが何人か来るだけで、テナント料と光熱費を支払うと儲けはほとんどありませんでした。

しかし、1年ほどやっていると徐々にお客さんが増えてきました。ネイルサロンという業態を世間が認め始めたという流れも作用したのかもしれません。

私のネイルサロンは繁華街に近かったのでナイト系の女性にも利用してもらい、美容院時代と同じくらい稼げるようになりました。

徐々に貯蓄も増やせるようになってきた私は2015年頃から副収入を考えるようになりました。

ネイルサロンは人を雇わず自分ひとりでやる仕事ですので、私が体を壊すと収入はゼロになります。

副収入を考えたのも、そんな不安があったからかもしれません。

副収入と言いましても休日にアルバイトをするようでは余計に体を壊しかねませんので、私が考えたのは株式投資でした。

私の趣味は料理で、クックパッドは毎日のように見ていたサイトでした。

購入銘柄を考えていた時に、このクックパッドの株が購入できることを知りました。

レシピを検索した際、必ず上位表示されるのがクックパッドです。私は親近感のあるクックパッドの株を800万円分購入しました。

購入してからは毎日、サロンでも空いた時間に株価をチェックすることが日課となり、よい暇つぶしになりました。

私が購入してからクックパッド株は好調で、数か月後に100万円以上の含み益を達成しました。

ところが、2016年の1月にクックパッド株は急落しました。100万円の利益は吹っ飛び、さらに評価額が500万円弱にまで減りました。

ショックはかなりのものでした。

一度手に入れた利益を失うというのは本当にショックなものです。これは株をやった人でなければ分からない感情でしょう。

私は喪失感に襲われ、相当に落ち込みました。

それでも100万円の含み益を得ていた感覚を忘れることができず、きっとまた持ち直すと信じて保有し続けました。

すると2月から3月にかけて上昇し、評価額は600万円まで持ち直しました。

ひと安心したのもつかの間で、3月からまた下がり始めました。

夏ごろからまた急落し、評価額が300万円となりました。

ここが私の限界でした。私はクックパッド株をすべて売却し、520万円の損失が確定しました。

副収入を得ようとした結果が、520万円の大損です。

一生懸命貯めたお金が水の泡です。

本当に自分が嫌になります。

今はネイルサロンの運営に集中していますが、1000万円貯まったら必ず市場に再び戻ってこようと思っています。

必ず520万円を取り戻します。

 

投資で得た利益は簡単に使えない

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

よく株や投資信託で得られる利益のことを「副収入」と表現しているマネー雑誌があります。しかし私は、投資の結果として得られるお金のことを副収入と呼んでしまうことに、違和感を感じます。

投資で得た利益を「収入」と表現することは、日本語としては誤りではないのでしょう。しかしその「収入」は、労働の対価や商売における売上の対価としての収入とは意味あいが大きく異なると思うのです。

私は投資でもうけたお金を表現するのに最も適した言葉は「あぶく銭」だと思っています。

運よく10万円もうけられたとしても、1カ月後には20万円損しているかもしれません。泡のようにいつ消えてなくなるかもしれないお金は、日本では昔からあぶく銭といいます。さらにこのあぶく銭は通常の収入のように使うことができないものです。

投資歴が長くなるほどに、年間を通じてプラスの利益を出すことの難しさが分かります。200万円の含み損が発生した株を5年間塩漬けにし、ようやく含み損が解消したあとに発生した1万円の利益の価値の大きさは言葉では表現できません。

投資で得た利益は「冷や汗と心の涙の結晶」です。それは投資家としての勝利の証(あかし)でもあります。そこには「副収入」という平易な言葉では表現し切れない想いが詰まっているものです。