【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

毎朝、目が覚めるとすぐにNYダウの終値をチェックし、朝9時には日経平均株価の寄りつき値をチェックする。家にいる間は常に株価ボードを起動させておく。仕事中にトイレに行く時は必ずスマホで株価をチェックし、旅行に行っている間も日経平均の終り値を必ずチェックする。

これが、脳ミソの9割以上を投資に支配されてしまっている悲しい個人投資家の行動パターンです。

タバコを吸う人の体が常にニコチンの補給を求めるように、いついかなる時も日経平均株価の情報を求めてしまう体になってしまっているのです。いわば、投資中毒に侵されている状態です。

このような人はたいてい、含み損を抱えています。

損失を抱えている人はその回復を願って常に日経平均を気にしている、ということではありません。日経平均株価を気にしすぎる人は必ず投資で損失を出すということです。

毎分毎秒の日経平均株価を気にする人は、自分が保有する株や投資信託が、昨日より今日、今日より明日のほうが上昇していないとひどく落ち込んでしまうのです。

持っている株や投資信託が下がれば、そのショックを和らげるために平均取得単価を下げようと追加で購入してしまいます。これをナンピン買いと言ったりします。

逆に少しでも含み益が出ようものなら早々に売却をして利益確定をしてしまいます。

株価はいったん方向付けがされると、しばらくその方向に動く傾向にあります。ところが毎日の株価の小さい動きだけを気にしている個人投資家は「木を見て森を見ず」の近視眼に陥っていますから、巨視的な視点を持てなくなっています。

その結果、ナンピン買いをした株はさらに下がって損失が加速し、逆に売り払った株は上昇して大きな利益を取りこぼしたと歯ぎしりをすることになるのです。

投資はその対象を気にしすぎると、利益が出せるものも出せなくなるのです。

それに、脳ミソの9割が投資のことで占められている人生を送ることには賛成しかねます。そんなことでは仕事や日常生活に支障をきたしますし、精神衛生上も良くありません。

投資というものは貯金と同様、生涯を通じてお付き合いをしていくべきものです。何かに投資していたとしてもそのことは頭の片隅に置いておくべきものであり、普段の生活では忘れているくらいでなければいけません。

いついかなる時も日経平均株価が気になるという人は、自分の資産に占める投資額の割合が大きすぎるのです。

資産が1千万円ある人にとっては、百万円で購入した株の値動きはたいして気にならないはずです(個人差はあるとおもいますが)。しかし、資産が百万円しかない人が百万円で株を購入したとしたら、毎分の株価が気になって仕方がないことでしょう。

気になって仕方がないだけの金額を投資してしまうと、脳ミソが投資のことで支配されてしまうのは当然です。その時点で投資におけるあなたの負けが決まったようなものです。

仕事や旅行、スポーツをしている時には日経平均のことなど忘れていて、家に帰ってNHKのニュースで日経平均の終値が出た時に、ようやく自分の保有する株のことを思い出す程度が丁度いいと思います。