(匿名希望 41歳 男性 会社員 東京都)

 

私は30歳の時に株をはじめました。その年はライブドアに強制捜査が入ってITバブルが崩壊した年だと記憶していますので、2006年だと思います。

ライブドア株の時価総額が8000億円になってホリエモンが踊っているのを見て、私は株に興味を持ち始めました。

それでも実際に株を始めたのはライブドアショックの後でしたので、それに関しては幸運でした。

そこから東証一部の有名な企業の株を買い始めました。一つの株で運よく10万円近くの儲けを出すことに成功したこともありました。

私が株を始めてから1年ほどは、日経平均も上昇しており私が購入するような有名な株が大きく下がることはありませんでした。

 

【2006年から2017年の11年間の日経平均チャート】

 

日経平均過去10年

(編集部により差し込み)

 

ところが、2007年の秋ごろから急激に日本株が下がり始めました。

その頃、私は13銘柄まで保有株数を増やしており、総額では自分の貯金の8割にあたる800万円を株に充てていました。その年の末には、ほぼすべての株に含み損が発生している状態になっていました。

そのころ日経平均は14000円くらいまで下がりましたが、自分が株を始めたころの株価に戻っただけだという認識でした。18000円にまで上昇したのが過熱し過ぎだっただけでガス抜きができてよかった、くらいに考えていたと思います。

株式の保有銘柄はいくつか入れ替えたりはしましたが、投資総額を減らすことはしませんでした。

そして翌年の2008年、9月のリーマンショックを迎えました。

9月末まで様子を見ましたが、私の保有する株の下落率は軒並み30%を超え、そこで全ての株を手仕舞いすることにしました。トータルで300万円近くの損失が確定しました。

株をすべて売却した後も、日経平均の動きを毎日チェックしていました。日経平均が下がると嬉しかったですが、逆に上がるとドギマギして落ち着かない日々を過ごしました。

当時の麻生総理が100年に一度の金融危機だと表現するほど、市場は荒れていました。今考えると言い過ぎだとは思いますが、当時は私もそう思っていました。

私は市場が落ち着けばまた株を買おうと狙っていましたが、それでも1年間は株には手を出さないように決めました。決めていたというか、恐ろしくて手が出せませんでした。

年が明けて2009年の春くらいにようやく「株価は底を打った」といった言葉を聞くようになり、夏ごろには日経平均が1万円まで回復しました。その頃からまた株を買い始めました。

しかし株価はひたすら軟調な値動きに終始し、そこから3年に渡って日経平均は9000円台と8000円台を行ったり来たりするばかりでした。この間に私はさらに200万を超える損失を出しました。

ところが潮目が大きく変わったのが、2012年末です。安倍晋三が総理大臣になりそうだというニュースが流れ始めると同時に、株価が上がり始めました。市場に「安倍晋三は金融緩和論者だ」という認識があったためです。

年末に安倍晋三が首相となり、年が明けた2013年は年初から株価が上がりました。日経平均は11000円近くにまで上昇しました。私が当時保有していた株も上昇し、含み益の合計が50万円を超えましたので、1月の半ばに全ての株を売却しました。

私の損失は500万円から450万円に減少しました。安倍首相に感謝しました。

ところが。

その後、株価は急騰し続けました。3月には12000円、5月には14000円、11月には15000円を超え、年末には16000円を超えたのでした。

買えませんでした。

上昇し続ける株を買う勇気が私にはありませんでした。自分が買った瞬間に急落するイメージしか持てませんでした。

それまでの3年間、8000円台と9000円台を行き来していた日経平均がたった1年でその倍にまで急騰することなど私には到底、考えられませんでした。

私は完全にアベノミクス相場に乗り遅れ、置き去りにされ、急騰し続ける日経平均を歯ぎしりをしながら見守るだけでした。

それでも私は450万円の損失を取り返す必要があります。今は怖くて株を買うことができませんが、日経平均が3万円程度にまで上がれば「下げ」に賭けようと思っています。

 

アベノミクスによる日本株急上昇によって成金になった投資家がいないワケ

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

2012年に安倍晋三が首相になることが決まる前に8千円だった日経平均株価が、たったの5年で3倍の2万4千円になりました。

日経平均が8千円の時に株を百万円分仕込んでおけば5年で3百万円、1千万円分仕込んでおけば3千万円、2千万円分仕込んでおけば6千万円になったわけです。

急騰した株価を振り返る時、誰しもがこのように考えてしまうものです。

「捕らぬ狸の皮算用」というよりも「走り去った狸の皮算用」といったところですね。

アベノミクスによる日経平均株価の急上昇に乗れずに歯ぎしりをしている投資家は、投稿者の匿名希望さんだけではありません。

恐らく、日本株に関わる全ての投資家が同じことを考えていることでしょう。

「もしも株価が8千円の時に全力買いをしておいて5年間保有し続けていたら」と。

しかし、悔しがることはありません。

素人でもプロでも、この5年間を通して全力買いを続けられた人など存在しません。

まず素人の場合ですが、含み損を抱えていた素人と、含み損ゼロからスタートした素人に分けられます。

含み損を抱えていた素人の場合は、投稿者の方と同様、2013年前半に間違いなく利益確定をしているはずです。

それまで8千円台、9千円台で3年以上くすぶっていた日経平均があっさり1万円を超え、一カ月で11000円を超えたのです。あの衝撃は相当なものでした。

リーマンショック以降3年間に渡って含み損を抱え続けてきた個人投資家たちの多くは、含み損を解消することが投資のゴールになっていました。

多くの個人投資家は「含み損が解消されて株を売り払ったら、もう二度と投資なんかやるまい。」という考えになっていたのです。

そして彼らの含み損の大半は2013年前半に解消されたはずです。その時点で売却を決定しているはずです。

次に含み損ゼロからスタートした素人ですが、こちらはもっと早い段階で売却しているはずです。購入した株の利益が、多くても1割を超えた時点で我慢できずに売却しているはずです。

したがって、日経平均が1万円の時に株を購入した投資家は11000円になるまでに、11000円の時に株を購入した投資家は12100円になるまでに売却してしまったはずです。

次にプロ投資家の場合です。プロ投資家は素人とは異なり株が上昇し続ける限りは保有し続けるテクニックがあります。株価が上がれば売却ラインも同時に引き上げていき、上昇する株価を売らずに追いかけていくわけです。

しかし売却ラインは通常、「現株価マイナス5~10%」 に設定します。

アベノミクス上昇相場の期間のチャートをよく見ると、5%や10%下落しているポイントはいくらでもあります。

 

【アベノミクス上昇相場の日経平均株価チャート】

アベノミクスに置き去り

 

 

つまり、プロ投資家であっても5年間に渡って連続して株を保有し続けた人など存在しないわけです。

アベノミクスで日経平均が上昇したという話はテレビでも新聞でもネットでもよく見かけますが、アベノミクスで大金持ちになったという話は見かけません。

架空の人物に嫉妬するのは辞めて、明日の投資のことを考えましょう。