(匿名希望 82歳 男性 無職 福島県)

 

私は2006年から2017年の11年間で2300万円を失いました。

投資を始める前に3400万円あった私の貯金は1200万円に減少しました。

損失を出したのは株です。

私の投資の歴史は楽天証券とともにありました。11年の間、私はずっと楽天証券で取引をしてきたからです。

楽天市場も利用しますし、この歳ですが楽天カードも持っています。だから、私にとって楽天証券は信頼の置ける証券会社なのです。

楽天証券に口座を開くと利用できるマーケットスピード(Market Speed)というものも魅力でした。

一夜にして10億円以上をかせいで一躍有名になったジェイコム男も、マーケットスピードを利用していたのをテレビで見たことがあります。

「楽天証券が私から2200万円を奪ったわけではない」ということは分かっております。

楽天証券は私が株を購入し、売却する際の窓口でしかなく、私が負けた相手は市場です。

それは分かっております。

考えてみれば、私はこれまで一度も楽天証券の社員のお方と電話でやりとりをしたことがございません。メールのやりとりもしたことがございません。まったくもって意思の疎通を図ったことがないのです。

しかし私は楽天証券を窓口として2200万円を失いました。その間、楽天証券には相当の取引手数料を支払って参りました。

ネット証券というのは、なんとうまみのある商売なのでしょうか。お客がキーボードとマウスを使って取引ができるようなシステムさえ構築しておけば、お客が勝手に口座を開いてくれて、勝手に取引をしてくれて、勝手に手数料を支払ってくれるのですから。

客が得をしても損をしても、証券会社はわれ関せずです。

私は市場に負け、同時に楽天証券の最高のカモになりました。

私が2200万円の損失を負ったことを、楽天証券の中のどなたかが気にかけてくださっているのでしょうか。「こいつ、かわいそうに。」とあわれんでくださっているのでしょうか。

窓口に行って証券会社の社員と顔を合わせなくて済むから楽天証券を選んだはずの私でした。しかし今は、楽天証券の中の人に慰めて欲しい自分がいます。なんとも滑稽なおはなしです。

楽天証券は何も悪くなく、悪いのは私です。レベルの低い単純な投資行動をとり続けた私が全て悪いのです。

それは分かっています。

しかし。

「長らく楽天証券をご利用いただきまして、有難うございました。楽天証券における株の売買により、お客様が多大な損失を被られたことを、誠に遺憾に感じております。なにとぞお許しくださいませ。」

といったメールのひとつでも欲しいものです。

楽天証券の中の人は、私のような投資ギャンブラーが大損をこうむって口座を解約し、市場を去っていくということをどのように思っているのでしょうか。

それは愚問かもしれません。

交通事故で国内に年間4000人前後の死者が出ることをトヨタ自動車の中の人はどう思っているのかという質問と同じなのかもしれません。

でも私は楽天証券に恨みはございません。

市場という名の悪魔が私から大金を奪っていったのだということを、この私が一番分かっております。

残りの人生は市場には参加せずに、少ない年金と残りの貯金でつつましく過ごして参る所存です。

 

株は証券会社に支払う手数料の額も余計に稼がないと負けになる厳しいゲーム

【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

楽天証券で株を1千万円分購入すると、994円(税込み)がかかります。また1千万円分の株を売却するときも同じく994円がかかります。

つまり994円×2の1,988円の利益を出さないとこのゲームは負けとなるのです。

1月4日の大発会の日に1千万円でひとつの会社の株を購入し、12月30日の大納会で売却するということであれば、手数料は年間通して1,988円だけで済みます。購入代金を分母とすれば、たったの0.01988%です。

長期で株を保有する人にとって、売買手数料はほとんど無視できるレベルです。

しかし、デイトレや短期売買を繰り返す人にとっては大きな問題です。

「1千万円の株を買って売る」というデイトレードを1日に5回繰り返せば、994円×2回×5回で9,940円の手数料を取られます。

これを1カ月間続けると9,940円×20日(営業日)で198,800円になります。さらに1年続けると、×12で2,385,600円になります。

手持ちの軍資金の23.856%をもうけてようやく年間通してプラスマイナスゼロとなるということです。

デイトレは「プレイヤー」にとって最高に分(ぶ)の悪いオンラインゲームです。

投稿者の匿名希望さんはデイトレをしているとはおっしゃられていません。しかし「相当な手数料」を支払ってきたということですので、一度の取引で大きな金額を投入し、比較的短期間で売却するということを繰り返されてきたのでしょう。

株を始める時は誰しも「何百万、何千万ともうけてやるぞ」とひそかにもくろんでいますので、「取引手数料なんていくらでも証券会社にくれてやるよ。」といったくらいの気持ちでいるものです。

しかし実際に株の売買を始めてみると「買った値段以上で売る」という単純なことがいかに難しいことかよく分かります。

かつて小泉純一郎氏が総理を務めていた頃、野党から日経平均の下落に関して政府の責任を追及された際に、こう答弁しました。

「株なんてものはねぇ。下がりもすれば上がりもするもんですよ。下がったものはいずれ上がるんです。」

確かに日経平均は日本政府が実施する政策のほかにも、海外(特にアメリカ)の政策や為替要因にも影響されますから、政府が意図的に操作できるものではありません。

小泉純一郎氏のこの発言にプロの投資家は失望したかもしれませんが、株で大きな含み損を抱えていた私はなんとなく救われた気がしました。

「下がったものはいずれ上がる」

株で損をし続けていると、この単純な理屈を忘れがちです。

長い目で見ると日経平均は、1万円を割ったり2万円を越えたりを繰り返します。海が満潮と干潮を繰り返すようなものです。

100年に一度と言われた金融恐慌によって7000円にまで下落した日経平均は、わずか6年で2万円台を回復しています。

大きな含み損を抱えると、日経平均は永遠に下がり続けるのではないかという妄想に取りつかれるかもしれません。

そんな時は「下がったものはいずれ上がる。株は下がりもすれば上がりもする。上がりもすれば下がりもする。」という当然のことを再確認するといいでしょう。

つまり、素直に株を持ち続けていれば得もするし、損もするはずです。損ばかりするなんてことはあり得ないはずです

しかし実際に株を買うと、含み益が出たらすぐに確定させてしまい、逆に含み損が出たら耐えに耐えてしまうのです。

それを繰り返してしまうものだから、日経平均が下落する過程でも回復する過程でも、常に損をし続けてしまうのです。

細かく売り買いを積み重ねて損失額を膨らましながら、証券会社にもたっぷり手数料を支払っているというわけです。

たっぷり手数料を支払っても、それ以上の金額をもうけているのであれば万事OKなのですけどが、なかなかそうはいっていないのが個人投資家の現実です。

手数料を無くせとは言えません。楽天証券はマーケットスピードのバージョンをアップしたり取引に支障が起こらないようにするためのシステム管理には相当なコストを支払っていることでしょう。

しかし手数料を支払うからにはもうけさせてもらわないと、ですよね。