【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

この2つのチャートを、見比べていただけますでしょうか。

 

日経平均が全て

日経平均10年チャート

 

どちらも2008年から2017年の10年間のチャートです。下がる時も上がる時も見事に同じ、双子のようです。いったいどこの企業のチャートでしょうか。

 

答えはこちら。

 

 

日経平均の影響

 

 

日経平均株価

 

 

上がトヨタ自動車、下が日経平均株価でした。

完全にシンクロ(同調)しています。見事としか言いようがありません。それも数か月の話ではありません。10年にわたって、です。

つまりトヨタ自動車の株価の動きは日経平均株価の動きと同じである、と断言できるということです。

日経平均株価は東証一部の主要企業から225社を抜き出してその株価の平均値をとったものであり、トヨタ自動車もその225社のうちのひとつです。

しかし、トヨタ自動車の日経平均株価への影響割合は1.2%ほどです。さすがのトヨタ自動車も日経平均の動きをつかさどるほどの影響力はありません。ではなぜここまでシンクロしてしまうのでしょうか。

ここで、日経平均株価が上昇する理由を考えてみます。

中学の頃、日本は加工貿易で経済発展をとげたということを習ったと思います。加工貿易とはつまり原材料を輸入して、製品に加工したものを輸出することで利ザヤを稼ぐということです。

国内に木と微量の石炭くらいしか原料が無かった日本がお金を稼ぐためには、技術を磨いて加工貿易に特化する必要があったということです。

つまり日本経済は輸入した原材料に付加価値を付けて輸出するという構造の上に成り立っているのであり、日本に資源が存在しない以上その構造はいつまでも変わらないということです。

日経平均株価を構成する225社には輸出企業も輸入企業も混在しています。しかし、輸入したものに付加価値を付けて輸出するのが日本経済なのですから、日本経済の指標である日経平均株価も、輸入企業よりも輸出企業のほうの割合を大きくしておく必要があるのです。

ということは、日経平均が上がるか下がるかは、輸出企業の影響のほうが大きいというわけです。円安になると日経平均が上昇するのはこのためです。円安は輸出産業の業績を押し上げるからです。

日経平均株価に影響を与えるためには、単に株価が高いだけではダメで、「株価×発行株数」が大きいことが必要です。こういう株のことを「値がさ株」と言ったりします。

日本で一番大きな値がさ株はユニクロのファーストリテイリングです。実に7%もの影響力を持っています。言わずもがなの輸出産業です。

円安になると日経平均を構成する輸出産業の株価が上昇して日経平均を押し上げ、円高になると輸出産業の株価が下落して日経平均を押し下げるわけですから、トヨタ自動車と日経平均の株価チャートがシンクロするのは当然です。

よく、「日経平均はこんなに上昇したのにどうして自分の株は下がるのだろう」と嘆く人がいますが、まずはその企業が輸出産業なのか輸入産業なのかを調べてみてください。輸入産業だとすれば逆方向に動いて当然です。

さらに輸入産業には鉄鉱石を輸入する企業もあれば、原油を輸入する企業もあります。鉄鉱石が値上がりすればJFEスチールの株価は下がり、原油価格が値上がりすればコスモ石油の株価は下がります。

輸出企業の株価の値動きは、為替レートだけを見ていればいいだけなので単純なのですが、輸入企業の株価は為替レート以外に原材料の値動きまで見ていないといけませんので初心者には少し難しいのです。

初心者はまず「日経平均株価の値動きは輸出企業によるもの。輸入企業の株価は日経平均の動きとは異なる。」という認識を持つことです。

この認識さえ持ってさえいれば、日経平均が上昇しているという雰囲気に流されて株を買う、ということはなくなるかと思います。