【ファイナンシャルプランナー浅野】

 

大損をする人に共通することのひとつが、1年・365日、ずっと何かに投資をしていないと落ち着かないということです。

「常に市場に挑み続けている」などと言うと、格好よく聞こえるかもしれませんが、これはとても危険な考え方です。むしろこの行動は投資家として致命的な欠点です。

大損を回避するために最も重要なことは「損切りの基準を決めて死守すること」です。例えば株が10%下がれば必ず売却するというルールを決めてそれを正確に実行することです。

その次に重要なことが「投資行動を休む」という勇気です。休むことがなぜ勇気なのか?

「もしも自分が投資をしていない間に市場が急上昇してしまったら」

という恐怖があるからです。

投資家は投資したお金で損をすること以上に、投資していないことで利益を逃すことのほうが、くやしく感じるものです。そんな想いをしたくないものだから、投資を休むことに恐怖を感じるのです。

しかし、大損を回避するためには、この「投資を休む」という勇気を手に入れることが必要です。

金融市場というものは、個別の企業の業績と関係なく、全体のうねりで動くことがよくあります。世界的な同時株安という言葉がニュースで流れるような時は、ほとんどの株が下がります。

そういう状況下で損切りルールだけを死守して投資し続けていると、ほぼ毎日、損切りを繰り返すハメになります。

損切りルールの死守だけでは大損を回避しきれない状況は数か月に一度訪れます。そこで必要になってくるのが「投資を休む」ためのルールです。

わたしが推奨しているのは「損切りが3度連続すれば1ヵ月投資を休む」というルールです。

損切りが3度続くというのは明らかに市場が疲弊している状況です。こういう市場の潮目が変わるためには、1ヵ月程(市場の稼働日で言うと20日程)は時間を要するものです。

その間はどんなにあがいても無駄です。あなたが取るべき戦略は「投資を休む」ということです。

投資を休むことは勇気が要ります。休んでいる間に市場が急回復すれば自分だけ置いてけぼりをくらいます。確かにそういうこともあります。

しかし、そこで慌てて投資を再開したとしても、また株価が急落して痛い目をみる、という可能性が大いにあります。市場が暴れている時は手を出すべきではありません。

プロは市場が落ち着くのをじっくりと待ちます。市場が落ち着かないことにはいくら個別企業の分析をしても無駄になるからです。

暴れている市場に手を出したくなるのは、自分の技術に自信がないから火事のどさくさに紛れて盗みを働こうとする泥棒と同じです。全身火だるまになるのがオチです。すみません。例えが悪いですね(笑)。

投資は一発勝負の丁半博打ではなく、人生を通して勝率をプラスに持っていくゲームです。トータルした時に、下落する相場と付き合った期間が少なく、上昇する相場と付き合った期間が長かった者が勝者となります。

投資人生は地球を走って一周するアースマラソンのようなものです。休まずに走り続けると必ずダウンして病院行きです。途中で睡眠を取る時間があるからこそ完走が可能なのです。

投資の格言に「休むも相場」「売るべし 買うべし 休むべし」「売り 買い 休み の三筋道(さんすじみち)」というものがあります。これはつまり、「投資を休む」ということは、売ったり買ったりすることと同じくらい重要な投資戦略だという教えです。

個人投資家は売ったり買ったりは大好きですが、休むということが大嫌いです。だからこそ投資を休むという「戦略」を身に着けられるかどうかが、素人投資家を卒業できるかどうか、大損を回避できるかどうか、の分かれ道となるのです。